ぼくの役割

長田へ協力していただいている工場に行ってきました。

靴の製作は一つの工場で完結することが少なく

さまざまな加工段階を別の工場で行い、バトンリレーのような

形で創りあげて行きます。

というわけでいろいろな工場を回った一日でした・・・

 

そこで各工場の職人さんと話をしたのですが、

長年の経験と知識から話される会話は刺激的でこれからの方向性が

生まれ出る良い時間でした。

 

そんな帰り道。

今日一日を振り返ってふと思ったことがありました。

 

工場といえばモノが生まれる現場ですが、

単純にそれだけではないんですね。

工場の設備は製品の仕様と結びつくので、結果ははっきりと分かりますが、

中にいる職人さんたちによってはコトの運び、モノの姿が異なります。

 

細かく分別していくとたくさんあるのですが

ふと頭にうかんだものを書いてみました。

 

「要求されたことだけをこなす工場。」

「要求に対してその上を提案する工場。」

「要求に対して互いに考える工場。」

 

そのなかで

「要求されたことだけをこなす工場。」

これは言葉だけだと印象がよくなさそうですが、

アウトプットに対してこちらの判断が行いやすいく、

計画が予定通り進んでいるということなので、

そういった面から見るととても良い工場です。

要求と成果物とコストのバランスがうまくつりあって

いる状態と思います。

 

「要求に対してその上を提案する工場。」

こういった工場に出会うと非常に幸運です。

品質がグググとあがって、テンションもあがってしまいます。

だけどこの場合、じつは工場のレベルと自分に開きがあって

いわゆる工場任せの状態になっている場合もあり

「モノは良いが、自分自身が伴っていない」

こととなります。

発注時においてその結果がイメージできておらず、

その工場に対して、的確な要求ができていないということです。

早く自分もそのレベルに達しないといけません。

長年の職人さんとお仕事した時にいつも感じます。

 

「要求に対して互いに考える工場。」

この状態はある種、レベルが一致していて、

お互い越えなければいけない壁がはっきり同じに見えており、

それを越えたとき、お互いに成長を感じることが多くあります。

当時はめちゃくちゃ大変でも、過ぎると得た充実感は大きく、

確実に経験と知識が体にしみこみます。

若い情熱のあるスタッフさんと一緒になったときに感じます。

 

いずれもさまざまな顔をした工場であり職人さんたちです。

それらは全て一つの商品を作り出すために繋がりあっています。

どこが一番よいかではなく、全てがあって商品が成り立っているのだと思います。

モチベーションやスキル、考え方、世代もさまざまで

みんなが均一的な繋がりではなく、でこぼこした関係。

 

そしてそこに一つの商品が生まれます。

その関係から生まれた商品はなにかとても魅力的に感じます。

なぜだろうか

それは中心に人が存在し、感じるからではないかと考えています。

もちろん当事者として、それぞれの顔を見て仕事をしていただいているので

ぼくが誰よりも強く感じているのは当然なんですが、、

やはり職人の意識がモノに影響しているのだと常々思います。

 

結果それが個性であり、特徴であり、人格へと

言い換えることができるのではないかと思います。

そしてそこにモノのもつ

面白さや、美しさ、魅力が潜んでいると

信じているからではないでしょうか。

 

ぼくの役目はその魅力をより育てること。

でこぼこした関係をフラットにせず、

それぞれの工場がその精度を高めあえるような関係を生み出し、

不均等な関係に隠された個性を掴み、表現すること。

そして維持し続けることがぼくの役割なんだろうと思いました。

 

改めて、勉強させていただいていることに感謝し、

こうして協力していただいている工場の方々に感謝した一日でした。

 

 

(ワタリ)

 
 

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