【eventこぼれ話】belt for you / 親子の道具

コイデです。

セミオーダーベルトイベント

「SOAK IN WATER Belt for you」

開催中のなか、SOAK IN WATERの角本氏より、

一本のベルトを見せていただきました。

なんとも豪快に、

ひび割れや、縮みのある、劣化したベルトでした。

なにより、途中でちぎれています。

話を聞くと、お客様から連絡があり、

親から譲り受けた形見のベルトがちぎれてしまい

バックルだけでも再利用したいので

あたらしいベルトの制作を頼めないか、

というご依頼だったそうです。

制作後、角本氏は思うところあり、

この革をお客様より譲り受けたそうです。

機能しないながらもバックルをつけ、

ベルトとしての姿をしたその革をもちながら

なぜそれを譲り受けたのかを話してくれました。

たぶん、この革はそれほど高級なものではなく、

手入れも丁寧にされたものじゃなかったかもしれない。

けれど、こんなになるほどに使い込まれて「道具」として全うした、

とても幸せな形である、と。

道具は使われるほどに、思い出が積み重なります。

「あのとき買った」という記憶の残り方もありますが、

初めて行った街で付けていたベルト、デートで履いていた靴、

悔しい思いをしたときに着ていた服。指輪、時計、様々。

そんなふうに、日常の道具としての服飾品は、

使われて、思い出とともに在ることが理想であると思います。

革製品はとくに、長く思い出を受け継ぐことができるほど、

メンテナンスを施せば使い続けられる道具であると言えます。

角本氏が持つちぎれたベルトも、

「あのとき、親がしていたベルト」から

「あのとき、わたしがしていたベルト」に、

経年変化という経験の積層とともに受け継がれた、

どんな高級な製品も敵わない唯一無二の、道具になっていたのです。

大量生産品が安く出回り、

利便性が増した事実は確かにあり、恩恵も様々ありますが、

角本氏は、思い出とともに寄り添う道具として、

自身が提供できる製品を考えるといいます。

それはクオリティであり、価格であり、

つまり、日常の思い出に添える、価値です。

１人の人間の大事な記憶のなかに残る道具・製品とは

どういうものか、ということを一本のベルトから、

また、角本氏の佇まいから考えさせられました。

—

イベントは、明日20日（日曜）まで。

写真のベルトもお預かりしています。

革の人格ともいうべき、

「経年変化」を見に来てください！

—

【SOAK IN WATER / Belt for you】

・12/18（金）〜20（日）

・会場：struct

・Open / 13：00 〜 20：00

http://www.struct.biz

◆struct address

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