blueover surplus と革の話
今日はブルーオーバーのデッドストックレザーを利用した特別モデル「surplus leather」の紹介とそれぞれに使用されているレザーについて詳細にお伝えしたいと思います。
surplus leather って?
このsurplus leather(サープラスレザー)とはブルーオーバーが手がける工場内で、どうしても発生する未使用品(デッドストック)革のことです。通常、工場は製品を生産する際に革のストックを切らすことのないよう、あらかじめ余剰に在庫を用意します。
結果として、想定していた通りにロスなく革が使用された場合、余剰分に用意した革が残ってしまいます。
それらの革は品質的にはまったく問題はないのですが、行き場をなくしてしまいます。そういった革をブルーオーバーのマイキーやマルコに利用したものが今回のモデルになるというわけです。
こういったデッドストックとなった革は、過去に生産したモデルに使用したものや実験的に購入した革など、さまざまな革があります。物性的にも多様ですので、今回は使用されたそれぞの革と共に各モデルを紹介したいと思います。
#01 Mikey Surplus : smooth white
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どこまでもクリーンな印象を受けるオールホワイトのスムースレザーのマイキー。時代を問わない普遍的なその姿はオールシーズン使用できる懐の深さがあります。どんなスタイルにも合わせやすく、男女問わず着用いただけるモデルでもあります。このモデルに使用されている革について、もう少し詳しくご説明します。
この革は”クロムなめし”の”スムースレザー”を使用しています。ここで2つ聞きなれない言葉があります。革に詳しい方はご存知の内容と思いますが、「クロムなめし」と「スムース」という言葉。今の時代、検索すればすぐにその内容がわかるのですが、解釈もそれぞれのようなので、ブルーオーバーとしての解釈を記載します。
皮?革?どうちがうの?
“革”というのは、”皮”が加工されたものを表します。
はじめから”革”が存在するのではなく、食肉用の牛などから取られる”皮”がしかるべき加工をされて”革”という素材になります。その工程の中で「なめし」という加工があります。この「なめし」は皮が腐敗しないようにするための加工方法で、その工程を経て初めてわれわれの生活品として存在するようになります。
クロムなめし
「なめし」の方法にもいくつか種類がありますが、多くは「クロムなめし」と「植物タンニンなめし」がよく知られています。前者の「クロムなめし」ですが、皮をドラム、またはタイコ(ともに大きなドラム式洗濯機をイメージしてください)に入れて回転させることで余計な成分を取り除き、皮を革としての基本的な物性に変化させます。そのドラムにクロム塩を加える方法がクロムなめしです。
なぜクロムなめしが多く利用されるかというと、それは革としての汎用性が高くなるからです。耐熱性、染色性、弾力性がとみ、様々な用途に使いやすくなります。つまり、熱に強く、染めやすく、しなやかな革が作りやすいということです。とりわけ靴に関しては他の革製品よりも上記の点が求められるので、多くの靴はクロムなめしの革が使われています。つりこみ作業で耐熱、弾性が不足すると色々なデメリットが発生します。
植物タンニンなめし
対して植物タンニンなめしですが、もっとも古いなめし技術で、植物から取れるタンニンを利用してなめされた革を指します。物性の特徴としてはのびが少なく、堅さがあり強さがあります。カバンのハンドル、補強部などによく使われています。極力自然に近い仕上がりの革が多いので、使い込めば味がでる経年変化を楽しめる革で愛されています。反面、水や傷など外的な影響を受けやすいのが特徴です。近年、靴ではアッパー材に使われることもありますが、多くは中底の部分に利用されています。
と、書き出すとキリがないのですが、「なめし」は革の根本的な性質を分ける部分になります。ちなみにブルーオーバーではカイロンが植物性タンニンの革をアッパーに使用しています。
革の表面について
次にスムースということばですが、革業者の間では表面が平滑な革をさします。ではこれに対して他の言い方がどのようなものがあるかというと、「シュリンク」「シボ」「ヌバック」「ガラス」といったものが挙げられます。
「スムース」 表面が平滑な革。
「シュリンク」 表面の銀面を収縮し、無数のちいさなシワを表現している革。「シボ革」とも呼ばれる。
「ヌバック」 表面の銀面をやすり、起毛させた革。
「スエード」 ヌバックと同じような質感ですが、こちらは裏面をやすったもの。
「ガラス」 銀面を熱を加えたガラスやホーローでプレスをかけて表面に光沢を出した革。
したがってスムースレザーとは、質感として最も手を加えていない無垢な仕上げというわけです。
以上を踏まえた上でまとめると、マイキースムースホワイトはスニーカーとして本当に素直な革を真っ白に染め上げたベーシックな一足となるわけです。
#02 Mikey Surplus : black
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さて次にご紹介するのは、スムースブラックマイキーです。オールホワイト同様にいつでも履き続けれるオールマイティな一足に仕上がっています。スムースホワイトに比べてより落ち着いた、というよりは、どちらを選ぶかはユーザーの好み、自分のスタイルに合わせやすい方を、という考え方で選んでいただければと思います。ホワイトとブラック、スニーカーでは定番の二色ですが、なぜかブルーオーバーのマイキーでは定番モデルとしてはありません。
#03 Mikey Surplus : ivory
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こちらはうっすらと暖色(赤み)がかったアイボリーカラーのマイキーです。革の表面はシュリンクがうっすらとのり、ほどよくツヤ感をだした仕上げの革になります。キナリ色のコットンを使ったスタイリングに合わせやすい色になっています。
#04 Mikey Surplus : khaki
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このカーキ色のマイキーに使われている革は、ほかのサープラスモデルで使用されている革と少し異なります。この革はオイルドレザーの一種で、程よく油分が含まれています。そのなめし方法ですが、こちらはコンビなめしとよばれる手法をとっています。すこしわかりにくいですが、簡単に言うとクロムとタンニンの二種類のなめし工程を合わせたものです。(革によって別の性質のコンビの場合もあります)お互いのなめし効果の特徴を併せ持った革に仕上がります。この革は履きこむほどにオイル成分が革の表面に上がってくるので、味わいある一足に仕上がります。
カラーリング的にもカーキは合わせやすく、重宝するカラーです。個人的にはサープラスモデルで一番オススメしたい一足です。
#05 Mikey Surplus : blue
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目にもはっとする、どぎついブルー。このカラーは、工場の隅で使われなくなった革を掘り出していた際に、あまりにもインパクトが強く一目ぼれ、思わず作りたくなってしまったカラーです。
こちらはスムースレザーではあるのですが、ここまでくっきりとした鮮やかな青色が表現できるのもクロムなめしの染色性によるところです。
※写真上ウェットブルーの染色前の革
染色前のクロムなめし革はウェットブルーとよばれる薄白い青色をしており、そこから染色工程に入ります。ベースが白なのでさまざまな色が作れるわけです。
余談ですが、植物タンニンの革は地色は茶系なので鮮やかな色に加工しにくい傾向があります。そんなインパクトあるブルーのマイキー。案外ショートパンツやモノトーンのスタイルに合わせるとちょうどいいアクセントになります。これまでいろいろなスニーカーを履いてきた方や、とにかく青が好きといった人にオススメです。
#06 MARCO Surplus : black
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マルコの定番ブラックではスムースレザーを使用していますが、こちらはシュリンクレザーを使用したモデルです。よりカジュアル感が強いシュリンク加工を施し、それでいて上品に仕上げています。
ガチっと決めたビジネスシーンよりも、ジャケパンスタイルくらいにちょうどよい、程よいフォーマル感があります。加えて天然のシュリンクなので、やや不規則なシボも楽しめるポイントです。
ここで「天然のシュリンクと、天然じゃないシュリンクってどうちがうの?」という疑問が生まれます。天然のシュリンクの出し方は、革を振ったり、からうちしたり、薬液をかけてシュリンクさせる方法です。対して天然ではないシュリンクとは、いわゆる型押し(エンボスレザー)と呼ばれるもので、革に凹凸のある型をプレスして強制的に柄を焼き付ける方法です。均等にシボが配置されてきれいに仕上がります、天然のシュリンクにくらべ熱でプレスするので表面を触ると硬い印象を受けます。どちらが良いか、というわけではなく、好みで分かれるところでしょうか。
さて少々長くなってしまいましたが、サープラスモデルのマイキー+マルコの紹介と革についてご説明させていただきました。革はやはり奥が深くなかなか一度にご説明するのも大変ですので、また機会があれば記事にしてみたいと思います。ブルーオーバーは毎回専門のタンナーで革をなめしてもらっているので、シーズンごとに若干革の表情が異なるのも特徴です。硬さや表面の仕上げ、ほんの少し違う表情までも楽しんでもらえれば幸いです。
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