WISLOM(ウィズロム)というブランド

-2018年追記-

今年の秋冬アイテムは、ブランドらしい表情の軽やかなダウンから、使い勝手の良いカットソーまで

商品一覧

秋冬よりstructで取り扱いがスタートしたWISLOM(ウィズロム)。

今回は、blueoverデザイナーであるワタリがWISLOMの展示会にて、ブランドを手がけるデザイナーの藤内裕司氏と話す機会があり、その時に感じたこと、WISLOMというブランド自体の魅力や特異性などをまとめました。

ぜひご覧ください。

WISLOMとは?

2016春夏。デザイナー藤内裕司氏が作り上げたブランドWISLOM(ウィズロム)。

藤内裕司氏は様々なアパレルブランドでのキャリアを持つ。最終経歴としてマーガレットハウエルにて企画デザインを担当し、特に素材にたいしての見識は広く深い。

自らのアトリエを「LAB.(ラボ)」と呼ぶほど実験的であり、かつ合理性を持つ素材を追求している。

その研究の成果が詰め込まれたファブリック達をアパレルへと落とし込んだ姿がWISLOMである。だからこそ、ほかのブランドではまず見ることの出来ないほどの圧倒的な素材感がWISLOMには存在している。

LIAM2.0

LIAM2.0にはナイロンとウールを混紡した
特殊な糸を使用している。

モデルの展開も他のアパレルブランドとは全くことなり、シーズンごとのコレクション展開といったものではない。

決まったパターン(型)をベースに、素材が複数存在するといった展開方法をとっており、いわゆるトレンドには流されないベーシックな型の中で、開発した素材を当てはめていく。そして素材自体は年々バージョンアップされていくと言った方法をとっている。

これは既存のアパレルブランドには全く見られない手法であり、これまでになかったブランドと言っても過言では無い。

今日ここではそのWISLOMの素材開発のスタンスの凄さについてもっと深く言及してみようと思う。

素材開発の凄さ

われわれも、blueoverというスニーカーブランドを展開している。そうした開発者の立場からみて、素材というものは商品を作りあげる上で最も重要な要素であることは疑いようが無い。

しかし、最も自由にできない領域でもあることも事実である。

blueoverでは主に革を使った商品が多く存在しているが、革は比較的、生産数が少なくてもオリジナルのものが作りやすい面がある。もちろん天然素材のために、管理の難しさや色の統一など易しいものではないが。

しかし、資本経済の中で、天然繊維や天然皮革とは違う、いわゆるケミカル−−「合繊」とよばれるものとなると大きく事情が異なる。

合繊は「ロット」と呼ばれる最小の生産数が、革とは比較にならないほど多く作る必要があるからだ。

拡大してもヴィンテージデニムにしか見えない
実はナイロン100%で色落ちがしない生地

そして、資本力のある多くの企業はその原理をうまく利用している。

合繊は基本的には天然繊維の弱点を補うように作られており、物性的には非常に優れた素材である。しかしその半面、開発には莫大な研究費用がかかるため、小さい企業なんかは到底研究・開発することは出来ない。

たとえ開発できたとしても、その費用を回収するために生地にしたときの値段が莫大に上がってしまう。それを解消するためには、スケールメリット(大量生産をすることで一つの単価を下げる)を用いてたくさん生地を作ることにより、メーター単価を抑えるといった手法をとる。

なので、根本的には合繊の開発、新商品というのは小さな会社では到底できないことであるという常識があった。

世の中のブランドの多くは生地開発を行っていない。生地メーカーが生地を作り、それを各アパレルブランドへ売り込むと行った方法で市場は回っている。そのため、素材による差別化というのは起きにくい。

ウィズロムは決して大きなチームではないが、藤内氏を中心にこれまでのノウハウや工場とのネットワークを駆使し、通常では実現できない独自の合繊の開発というものを作り上げている。

これはおなじブランドを展開している側からしても相当なリスクと覚悟、そして強い想いが無いと実現できない凄みを感じさせてくれる。

このブランドは、同規模においては唯一無二のブランドと断言していいだろう。そしてウィズロムは展開する生地の種類も多く、そのいずれも、これまでなかったような驚きが含まれてた生地になっている。

実際手にとってみると「ありそうでなかった」そんな印象を受けるファブリックが揃い、他のブランドとは一線を画す物作りになっている。

マーガレット・ハウエル

2018年春。藤内裕司氏と直接お会いする機会があり、お話をさせて頂いた。

私はアパレルブランドとして、 WISLOMの立ち位置が他のブランドとは少し異なるな、という印象を感じていた。

今回、藤内氏と話をしていく内、その異なる印象の正体が、徐々にわかっていった。

彼がマーガレット・ハウエル(MHL)のデザイナー時代。本国イギリスで、マーガレットハウエル本人と会い、ブランドスタンスの話をしたという。

日本ではマーガレットハウエルといえば、ファッションブランドというイメージが強くあるが、本国ではそれとは少し異なり、道具としてのプロダクト−−それは「用の美」にみれる価値観で物作りをしている、と受け入れられているということであった。

WISLOMを立ちあげたとき、それが自身の物作りのスタンスとして存在しているということだった。

なるほど、用としての美。

なぜこの素材が存在するのか。藤内氏は具体的に、そして合理的に素材の特性、必要性を話された。

そこには彼の持つ明確な「ビジョンと哲学」がベースにあり、ファッションブランドというよりはプロダクトとしてのウェアの存在を感じられた。

ポリエステル素材を縦糸に。横にリネンを。
ストレッチ性のある麻の風合いをもった生地。

現代という生活様式に服というモノがどう人と重なり合うのか。形やトレンドではなく、新しい可能性の糸口を素材という要素で明確に提示する。

その答えの出し方にWISLOMというブランドの価値観が存在しているのだろうと考えさせられた。

何十年たっても「良い」と思える服を作る

都市生活としての服のあり方。そこにセグメントを絞った藤内氏は、専業メーカー、アウトドアブランドのオーバースペックではなく、都市生活を快適に過ごすという最適解を導き出す。

そして、今の時代に溢れかえる、コストパフォーマンスと言う名目で生まれでてくる生地。

それ自体は決して否定されるべきことではないが、単一的、一方通行的に植え付けられる洋服の価値に対して、それだけでは無いはずだ、という強い信念を感じさせてくれるブランドWISLOM。

藤内氏も「何十年経ってもよいと思える洋服が昔は存在していたのに」と一言。WISLOMはそんな、十年後に着ても用の美を感じる価値観を持った服を作り続けるブランドではないかと確信させてくれました。

ストラクトでは大切にしていきたい考えであり、無くしてはいけない価値観だと思いお取り扱いを始めさせて頂いた次第です。

今後、アイテムごと、素材ごとに、より詳しい紹介をしていきたいと思いますが、今回はこれまで。

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