刺し子織りと藍染。KUONの柿の葉柄プルオーバーシャツ
WEBストアスタッフのコイデです。
今回は、KUONのアイテムを説明する前に、このアイテムをより知ってもらうために少しだけお話をさせてもらえればと思います。
ちょっと長くなりますが、個人的にもKUONを調べていく上で興味深いお話だったので、興味があればぜひご一読ください。
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刺し子織り・藍染のベースとなる、民芸運動・民芸という価値
KUONの洋服を語る上で欠かせないもの。それは民芸、という価値だと思います。
blueoverの根底にも流れる「民芸」という価値は、言葉だけが先行してしまい浸透していないようで、自分自身もblueoverに携わるまで、コケシや赤べこなんかが、いわゆる民芸品といわれるものではないかな、なんて思っていました。
もちろんそれらも民芸品ではありますが、ちょっと視点を変えると、自分たちの身近にも様々な民芸品が存在することに気づきます。
私の中にあった「民芸品」のイメージ
柳宗悦という人がいます。
この人は日用の中で使われる道具が持つ「用の美」というものに目を向け、それらを芸術として認める運動をしていました。それが、民芸運動です。
たとえば、ヤカンの形。おたまの形。ハサミの形。
当たり前と思えるそんな日用品の姿一つをとっても、日用の中で行われてきた改良の証が見られます。
突然アイデアのように生まれたのではなく、合理的な使いやすさや、長持ちをさせる理由があっての改良により、その姿は徐々に変貌していったことでしょう。それは「誰々がデザインしグッドデザイン賞を受賞した、優れた商品です!」というわけではありません(これを、アノニマスデザインとも言います)。
長い長い時間の中で培われ「デザイン」されたものは、今もさまざまに生活の中で役立っています。
柳一族はそうした民芸に関する思想を数多く、今も息づかせています。たとえば、柳宗悦の息子である柳宗理のカトラリーやフライパン、ボールなんかは、ご自宅にひとつふたつある方も多いのではないでしょうか?
そして、KUONの洋服に使われている「刺し子織り」の生地や「藍染」という手法もまた、そんな民芸と、そして柳一族とも近しい関係にあるものだったりします。
刺し子織り生地とは?
「刺し子」という技法もまた、そうした生活の中で生まれた民芸です。
布、生地が貴重だった昔、服のほつれや破れを継ぐため生地を重ね、頑強にするため布に幾つも針を通しました。
身近なところでいうと、雑巾やふきんを縫って補強するなど学校でもやっていたあれが近いものですね。
それが時代を経ることにより、特に東北地方では寒さを防ぐ意味もあり、通す針が模様を作る刺し子という文化が発達。
目を見張るような美しい模様の数々は、アートピースのように今も人の目を楽しませています。
このKUONの生地に使われているのは柿の葉っぱを上から見た様子を抽象化した「柿の葉柄」
ところで、KUONの服に使われているのは「刺し子織り」で、普通の「刺し子」とどう違うか。
刺し子は手作業で生地に針を通していますが、刺し子織りは、機械織りで刺し子を再現することができます。
ただし、1時間に1メートル織れればというような、途方も無い時間をかけて作るこの刺し子織り。日本で唯一「三和織物」という、福島の工場だけが生産することができます。
三和織物の代表は、前述した柳宗悦の甥である、柳悦孝に長年にわたり師事した人物です。
新しい機械では決して出ない、独特の風合いをもった高い技術と経験を必要とする刺し子織りの技術を絶やさぬよう、その価値と機械を守り続けています。
日用の中で築かれた刺し子の柄は、和柄や伝統的な文様という以上に普遍的な美しさを持っています。
藍染という高機能コーティング
今回の商品、同じ柄でありながら一着はそれを藍染にしています。
この藍染というものも「民芸」と同じくらい言葉としてはお馴染みでありながらも、その実くわしく説明しろと言われるとちょっと困るものでした。
ジャパンブルーとも言われる藍染は、なんとも言えない深い青が特徴的。
個人的には、その独特の色味が珍重されて、昔から使われてきたものかと思っていたのですが、その歴史は思ったよりも古く、飛鳥時代くらいから日本にはあったそうです。
調べてみると、昔から使われるにはしっかりとした理由がありました。
通常の染色というのは、植物の根などを煮出して色素を取り出しますが、藍染はアイの葉を「発酵」させることで色素を取り出します。
そして、染めた布には「防菌」や「防臭」さらに「防虫」効果が付与されるといいます。
むかしは、藍染した布で洋服をしまったり(虫に喰われないため)、蒸れることの多い鎧の下の肌着にも使われていたとか。現代でいうと、AG+てきな、あの銀のやつみたいな感じですね!
資料館に展示してある服や、洋服としてリメイクされる襤褸などに藍染のものが多いのも、どうやら藍染や刺し子といった「服を保つ」加工がされているからこそだという記述も調べていくうちに見かけました。
確かに、あのジャパンブルーといわれる藍色を懐かしく感じるのは、それだけ過去から保つことができて、目にする機会の多い、確かなものだからなのかと妙に納得しました。
これも、日用の美といわれる民芸という価値が含まれた、技術だと思います。
KUONのデザイン
blueoverも、日用の中に必要なデザインだけもとめ、道具として在る靴という実用と美を意識して作られています。
KUONもまた、そうした時間が積み重ねてきた普遍的な美しさを、現代的な解釈や、積み重ねられた洋服のパターンメイクという技術に落とし込むことで、アイテムを作り出しているように思います。
この柿の葉柄のプルオーバーシャツ。ベースに使われた刺し子織りの生地は伸縮性が少ないため、脱ぎ着がしやすいように少しゆったりとしたシルエットに作られています。
そのシルエットが生むリラックス感は、生地の表情をとても上品に見せてくれます。それはただ、和柄であるから、伝統柄であるからというだけでない、三和織物のものづくりへの姿勢が反映されているように思えます。
柿の葉柄も藍染も、主役級に特徴的でありながら声は大きくない美しい佇まい。
これからの季節、一枚で、インナーで、春になればまた使いたくなる、そんなアイテムです。
ぜひご確認ください。
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以前のKUONを紹介したブログはこちら
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